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結婚と妻の入院をきっかけに、仲間とフォローし合いながらメリハリのある働き方を

藤野 敬博 39歳


妊娠中の妻の緊急入院と娘の送り迎え。通常勤務は難しい状況だった


「妻が入院することになってすぐに社長に相談しました。社長は休めばいいって、奥さんを大事に考えなさいとも言ってくれたんです。しかし、娘を保育園に送って迎えにいくまでの間は動けるので、やれることがあれば出勤したいと伝えました」と話すのは、株式会社辻広組、工事部係長の藤野さん。会社と相談し、9:00~15:00までの勤務となり仕事を続けました。「入社して約20年、今まで聞いたことがない勤務形態になった自分が、これまでと同様に仕事を続けることができたのは、上司や同僚のサポートがあったから。これまで以上に打合せを密にして仕事を託しました」と当時を振り返ります。同時に、娘さんとの2人暮らしは初めての連続で、慣れない家事も大変だったようです。





娘さんとの2人暮らし。家事や保育園の送り迎えなど課題だらけだった


仕事については、これまで同様に進めることができましたが、問題は家事と娘さんのこと。「実は家事はできる方だと思っていたんです。しかし、実際にやってみると洗濯・掃除は何とかできても、子どもの食事を作ることが…。特に栄養バランスが難しかったですね」の言葉通り、療養中の奥様に聞きながら、娘さんが食べやすい食事を作るため、毎日キッチンに立ち続けたと言います。「妻のありがたみが身に沁みました」としみじみと語る姿は、当時の藤野さんを垣間見るようでした。しかし、このことがより娘さんとの距離を縮めたようで、前にも増してパパっ子になったとか。娘さんにとっては、とても嬉しい時間だったのかもしれません。写真は、会社で参加したマラソン大会打ち上げのときのツーショット。今もパパっ子は健在のようです。





家族と仲間のありがたみを改めて実感。部下や同僚を大切にすることの重要さを知った


「それまで、上司から部下や同僚を大切にと言われても、正直ピンときませんでした。自分の仕事をしっかりすることで精いっぱいだったんです。でも、この経験が考え方を変えました。仲間がサポートしてくれなかったら到底無理な働き方でしたから」。チームでフォローし合って働くことの重要さに気づき、会社の中での人との関わりを見直すきっかけになったと言います。「部下にも、できるだけ私生活が充実できるよう、上司として働きかけていきたいと思います。仕事面だけじゃなくて、生活面もフォローすることで、恩返ししたいですね」。ご自身については、「結婚してからはなるべく早く仕事を終わらせて帰るようになりました。家庭も大事だし、私生活が充実していないと仕事に身が入りませんから。その頃妻のおなかの中に居た娘も2歳になりました。妻の入院は大変な経験でしたが、自分の生き方が豊かになった気がします」。仕事と家庭、両方とも充実していることが、心の豊かさをもたらしたのですね。





家庭を大切にすることが仕事にも生きることを次世代に伝え、誰かのピンチには率先してサポートしていきたい


「会社が始まって以来の勤務形態にさせてもらったのですが、気付くことは多かったですね。どうしても男性が多い業界なので、仕事と家庭の両立は考え方として浸透しにくいんだと思います。でも、家庭を大切にすることって、仕事をおろそかにすることではなくて、むしろ仕事に良い影響を与えると思います。もし、今後同僚がピンチに立たされたときは、自分が全力でサポートしたいですね」。子育てだけでなく親の介護など、仕事と家庭の両立が難しくなる事態は誰にでも起こりうること。会社の理解はもちろんのこと、本人の向き合い方が大切だと藤野さんが教えてくれました。「これまで妻任せだったことを体験することで得られた娘との絆や、同僚のありがたさをより一層感じられたことが本当に嬉しい。これからも家族や同僚との関係を大切にしていきたいですね」。今は子育て真っ只中。子どもたちとの時間を存分に楽しんで、たくさんの思い出を作っていくことでしょう。